本のPDF化というと漫画などのイメージが強いですが、勉強にもとても便利です。
教科書や医学書を自炊(PDF化)してiPadなどのタブレット端末に入れる方法を医学書の特殊性も含めて紹介します。
医学書以外の自炊(PDF化)にも役立つ内容になってますので、医学以外の勉強をされている方にも参考になるはずです。
今回の記事は自炊に必要なもの、初期投資額について紹介します。
▼教科書PDF化シリーズ記事
まず覚えてほしいワード:「自炊」
自炊とは【紙の書籍を自分でPDF化すること】の俗語です。
ネットで方法を検索するときには自炊という用語を入れるといっぱいヒットしてきます。ぜひ覚えておくと良いワードです。

自炊の流れ
まずは大まかな流れを抑えましょう!
自炊の流れは
裁断→スキャン→OCR(文字認識して検索可能PDFにする)
です。
この流れが分かると必要なものも分かってきます。
自炊全体を代行業者に依頼すると違法です!【要注意】
とても便利な自炊代行ですが、代行業者に頼むと違法なのはご存知でしょうか?

よく本の背表紙にも書いてありますよね。
【なぜ法律で自炊(スキャン)代行業者が規制されているのか】
法律の知識がないので、法律的な面は分かりませんが少し考えると納得できます。
問題点1:スキャンした本は帰ってこない
▶一般的にスキャン代行業者に出した書籍は返却されません。さらにネットオークションをみると裁断された書籍が大量に出品されています。もしこれに代行業者のスキャン後のものが含まれているとすると、、、、出版社は潰れてしまいますね。
問題点2:スキャン業者もデータが手に入る
▶スキャン業者にもデータは残ります。教科書だけでなく、漫画のデータもあるでしょう。
もしかすると、少し前に話題になった「ま○が村」の元になったデータもこのようなところから流出したものかもしれません。

このような現状もあり、このサイトでは自分でスキャンすることをオススメしています。
裁断:ここだけ業者に頼む or 裁断機を購入
【追記】以前は裁断は業者にやってもらっていたのですが、裁断機を購入してみました。
裁断機もきちんとしたものを購入するとかなりきれいに切れることもわかったので、追記しておきます。
裁断は業者にやってもらっている(いた)理由
裁断に必要なのは裁断機ですが、筆者は裁断に関しては外部業者に委託しています。
(スキャンまで代行してくれる自炊代行業は違法との判決が出ていますので違いに注意してください。)
裁断機自体が高価(安くても1万円〜)なので初期投資費用が高くなる。
裁断機は結構高価なもので、切るためだけに数万円かかります。自炊の初期投資はスキャナーも必要なので、自炊開始に必要な初期投資がさらに高くなってしまいます。
筆者のように最初はスキャナーだけ購入して、余裕がでてきたら裁断機を購入するというのもありですので、お財布と相談してやってみてください。
医学書の様な厚い本は裁断しにくい
友人の裁断機を利用して裁断させて貰ったこともあるのですが、医学書のような厚い本は裁断しにくく、そのままでは裁断機にかけれないものが多いです。
そうなってくると、自分で買ったナイフで何分割かしてから裁断機で裁断する必要があります。このカッターナイフで、分厚い表紙を外したり分割する作業はかなりめんどくさく、時間もかかります。
またカッターナイフで分解する作業には怪我のリスクも伴います。
他のサイトでおすすめされていた↓の4万円近い裁断機でも、一回で裁断できる最大の厚さは1.8cmらしいです。
医学書は厚いものが多いという点で、一般の書籍の自炊とは違うものと考えるべきだと思います。特に裁断機に関して自分で検索して購入される場合にはこの点にご注意ください。
裁断機は大きく、重く場所をとる
裁断機は大きく、重く、場所を取る割に使用頻度が低いです。さらに刃物ですので切る回数が増えると、刃を研いだり、交換する必要も出てくるようなので維持費もかかります。
【追記】裁断機を購入した後の感想としては、裁断機は大きいですが、裁断機によっては縦に収納できるモデルもあるので、場所に関しては思ったよりもマシでした。
刃の研ぎ直しや交換はメーカーによって用意されていることもあり、必要なことに間違いないです。
裁断業者の料金が安い
裁断業者の料金はかなり安いです。
料金=裁断料+業者までの行きの送料+返送の送料です。
裁断料自体はかなり安く殆どの業者で1冊100円程度です。
返送の送料は初回のキャンペーンで無料になったり、20冊以上まとめて頼めば無料になったりしてかなりお得に裁断を行えます。
料金が安い上に裁断機のメンテナンスもいりません。
裁断業者の裁断がハイクオリティ
業者で裁断してもらうとかなりきれいに切ってもらえました。
裁断業者では裁断器をかなり大型の業務用のものを使用するようで、自分でするよりもきれいに裁断できると思います。裁断のクオリティーは次のスキャンの工程で作業効率に影響が出てきます。(例えば、くっついているページが残っていたりすると、スキャンのときに紙が折れてしまったりもします。)
業者の裁断機と裁断中の紹介画像があったので埋め込んでおきます。これを見れば業者がきれいに裁断できるのも納得かと思います。(音が出ますのでご注意ください)
【追記】自分の裁断機で裁断した場合にも業者によるものと同じくらいきれいに裁断できました。正直、裁断機なめてました。ただ、分厚い書籍の場合には一度カッターナイフで裁断できるサイズまで分解する必要があるので、分厚い本の場合には業者の方がきれいに裁断してくれそうです。
怪我をする心配がない
自炊の中で怪我をする可能性が高いのが裁断です。
学生でも、社会人の方でも指に怪我をすると困る方は多いはず!
特に医学書を裁断する場合、漫画ののような薄い本より、分厚い本が多くなってくるので、より力を入れる必要があります。
裁断機に安全装置がついている場合が多いにせよ、余計なリスクを避けられるのは良いことではないでしょうか。
【追記】裁断機を購入してその切れ味に驚きました。裁断機ってちゃんと切れるんですよね。結構分厚い本でも切っている感覚があるんです。ザクザクザクって。
きちんとした裁断機を購入すれば、安全性は高いですが、怪我のリスクはゼロにはできません。大人だけの環境であればまず怪我をしない設計にはなっていますが、小さな子どもの手の届く範囲に置くのは危ないものであるとも感じました。
裁断代行業者の選び方
料金=裁断料+業者までの行きの送料+返送の送料であることが重要になってきます。
重い医学書を送ろうと思うと、送料が料金のうちの大部分を占めるようになってきますので、業者の選定に居住地から近いのも大切な要素 になってきます。
筆者が検索して、見つけたところを地域別に紹介していきます。
Cut Book Pro こちらは筆者が利用している業者になります。この企業は大阪にあります。
裁断ブックマート こちらは先程載せていた裁断機の動画の業者になります。こちらも大阪の企業です。
scanbooks 長野の企業です。関東圏の人は安く済むかと思います。
Bookcut japan 福岡県の企業です。サイトも見やすく、分かりやすいです。
業者ごとに初回使用キャンペーンを行っていることが多いです。
これを使用すると数十冊単位の注文がかなり安くなることも多いです。
このようなキャンペーンの中には行きの送料+返送料の両方が無料になっているものも多いので、これらのキャンペーンを利用する場合には、業者の所在地は関係なくなります。
キャンペーンも上手に利用するとお得に利用できます。
裁断機を購入する方法
以下、裁断機を新しく購入したので、こちらの記事に追加した内容です。
今回、購入したのはこちら↓
DURODEX 自炊裁断機 200DX
この機種です。Amazonで扱っている裁断機の中でもちょっといいヤツですが、レビューの良さと収納性の良さに惹かれて購入しました。
スキャン
スキャナーを購入する
スキャンに必要なのはスキャナーです。
スキャナーもピンきりなのですが、時間短縮するには少なくとも束でセットできるモデルが良いかと思います。
ネットで人気機種は富士通製のScanSnap iX500 FI-IX500です。
だいたい調べて出てくるのはこの2機種なので、印象でどちらかに決定するのが良いと思います。これらのスキャナーのサイズ感は思ったより小さく場所もあまり取りません。
▶現在はScan Snapの新型が発表されました。現行ではこちらもおすすめです。お金が許せば最新機種になります。
このサイトをよく読んでくださる方ならこのサイトから情報を集めやすいのはDS570Wの方です。わからないことがあれば、筆者のTwitterなんかで質問いただければ、回答できるものもあります。

ネット社会では情報の集めやすさも重要!
▼ちなみにスキャナーのサイズは500mLのコーヒーくらいです。ScanSnapも大差ありません。
レンタルを活用する
高額になってくるので、まずはレンタルで試してみると言った方法や、まとまった休みがとれる人であれば、レンタルした数日で全てのスキャンを行う方法もあります。
筆者も試そうとしましたが、時期によってはすごく混んでいるみたいでレンタルできる日程が合わなかったのでやめました。レンタルしたい方はできるだけ早く予約してしまうのがおすすめでです。
OCR化=PDFを検索可能にする処理
紙をPDFにスキャンした直後の状態と言うのは、紙を写真にとった状態と同じです。
これを検索しても、文字は検索に引っかかりません。
この写真の状態から、写真と一緒に透明なテキストを埋め込んだ状態に変換していくのがOCR化という作業になってきます。この工程には現在パソコンが必須となってきます。(スキャンまでは、タブレットかスマホでも可能ですが、処理効率がかなり悪いのでパソコンがあったほうが良いかと思います)
OCRにはOCRソフト(文字認識ソフト)が必要です。
↓文字認識処理については別記事で詳しく・優しく解説しましたのでわからないひとはこちらを御覧ください。

これはスキャナーにも付属していることが多いです。(少なくとも、上の2機種にはWindows版、Mac版の両方が付属しています。)
なお、スキャンして作成したPDFが検索できなくても良いという場合にはこのOCR化の過程はしなくても大丈夫です。
スキャナー付属のソフトで不満に思った場合には、OCRソフトを自分で購入するとさらに精度の高い文字認識が可能です。
使っているPCがWindowsかMacによりますが、Windowの場合には選択肢はたくさんありますが、Macの場合には選択肢は少なめになってきます。
筆者はMacを使用しているのですが、Adobe社のAcrobat Pro を使用しています。学生、教員の場合には通常より安く購入できるのでおすすめです。
【追記】学割が利用できる買い切り版は販売停止してしまったようです。現行ではsubscription版(期間課金型)のみみたいです。これにも学割はありますが、以前よりも高価になってしまいます。
現行ではMacでは、Acrobat以外の選択肢があまりないので代わりになるソフトを探しています。情報をお持ちの方がいればコメント欄などからぜひ教えてください。
まとめ
筆者の一番のおすすめの方法のまとめ
裁断機→業者に依頼
スキャナー→購入
OCRソフト→お金に余裕があれば購入、一度スキャナー付属のソフトで試してみて、必要なら購入
裁断機に関しては、自宅スペース、お金に余裕がある方、医学書以外にも裁断したい漫画の本がある方には購入をオススメします。購入に不安のある方は一度レンタルを活用してみるのも一つの手だと思います。
自炊したPDFリーダーにはこちらのアプリ▼が絶対におすすめです。

最後に、医学書の自炊は医学生でもやってる人はまだ少数派です。是非もっと自炊が広まってくれるといいなと思います。一方で自炊してもPDFを人にあげる行為は違法行為ですし、本を書いてくれている人の不利益になるのでやめましょう。
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