iPadで勉強する医学生の考える電子書籍の限界と書籍のPDF化で生まれる可能性

iPadで勉強していると気になってくる

「電子書籍での購入vs紙の書籍のPDF化」

の考察です。

 

新しいスキャナーの発売があるので書いてみました。

目次

電子書籍は紙の書籍に取って代わるか

 

電子書籍が普及してきて何年くらい経つのでしょうか?

 

筆者の印象では5年ほど経つような気がします。

調べてみた所、2012年の「日本発売間近Kindleって何」という記事を発見しましたので2018年で6年経つようです。

日本での電子書籍の普及もKindleの普及と同じくらいであった様に感じます。

 

公益社団法人全国出版協会によると2017年の紙の書籍の売上は13年連続で減少傾向とのことです。

公益社団法人全国出版協会のサイトからグラフを引用させてもらうと、電子書籍の売上は上昇傾向のようです。

https://www.ajpea.or.jp/information/20180125/index.htmlより引用

 

つまり、電子書籍が紙の書籍の市場を奪っているという要素もありそうです。

 

筆者も最近では紙の本よりも電子書籍を購入することが増えています。

「医学の勉強のための教科書を除いて」です。

本を読むなら電子書籍も持ち運びに便利です。スマホでも読めますし。さらに、価格も安い。

 

ただ、勉強のためと考えると話は少し変わってきます。

 

勉強のための教科書では紙の書籍のPDF化がとても強力

筆者が医学部に入学したのは2013年ですのでちょうどKindleの普及とともに医学部の勉強を行ってきた世代です。

重く分厚い医学書は電子版との相性がイイこともあり、すでに医学書でも電子化の流れは進んでいます。

  • M2plus
  • isho.jp
  • medic media

と医学生が使うようなサービスだけでも3つほど医学書の電子書籍を販売している企業があります。

最近ではAmazonのKindleでも医学書の電子版が販売されるようになってきました。

 

筆者も教科書の電子化には興味があり、低学年の頃から電子書籍で教科書を購入するようにしていました。

 

ですが、最近は紙の書籍を電子化して使用することの方が多いです。

 

その理由はApple pencilと廉価版iPadとアプリの進化にあります。

デジタルデバイスとアプリの進化

Apple pencilの発売は2015年。

 

Apple pencilはそれまでのスタイラスペンとは違い、画面に手を置いて書き込むことが出来ました。

Penと手の違いを認識してくれるのです。

更にはそのペン先の細さもそれまでないものでした。

 

Apple pencilとiPadによって紙に書くのと変わらない感覚でタブレットに書き込みが出来るようになったのです。

 

さらに2017年になってアプリの進化も追いついて来ました。

当サイトでも紹介しているようなノートアプリとPDFリーダーアプリが出現しました。

 

ノートアプリの凄さはGoodnotesを例にして別の記事で紹介しています。

【効率最強】手書きデジタルノートアプリの圧倒的なメリット&おすすめApp:Goodnotesを紹介!

さらに、PDFリーダーの進歩も凄まじい。

  • 全PDFを横断的に内部まで検索出来る
  • 書き込みも紙と同様に可能
  • ブックマーク作成・アウトライン作成も
  • サムネイル表示
  • 画像の貼り付けまで可能

という超高機能PDFリーダーであるPDF Expertもなんと1000円という低価格で販売されています。

【全PDF横断検索できる】自炊・デジタル勉強的に最強のPDFリーダー【PDF Expert 6/Documents】

 

ノートアプリにもPDFを読み込むことができ、教科書を元に書き込む事できるというなんでもできる状態です。

 

PDF化した教科書なら、紙の書籍で出来たことは出来る。

しかも、画像の貼り付け・書き込んだ文字の移動・検索という紙ではできなかったことが出来る。

という状態です。

廉価版Apple Pencil対応iPadの発売

iPadでの勉強にさらに追い風になったのは、Apple pencilが使用できる廉価版のiPadが発売されたことです。

これは2018年4月のことで、このサイトのPV(ページビュー)数もこれを期に大きく増加したのを覚えています。

それまでApple pencilを使用するには8万円ほどの端末が最低必要だったのですが、廉価版の登場により4万円+Apple pencilの1万円という価格でiPadで勉強出来るようになりました。

一方の電子書籍はイマイチ勉強に適応出来てない

一方の電子書籍は、勉強するという点に置いて適応が間に合っていません。

気軽に購入できる点ではとてもいいのですが問題点が多すぎると感じています。

問題点1:購入した教科書は購入元のアプリでしか利用できないことが多い

電子書籍の特性上、仕方ないことなのですが購入した教科書はその対応アプリでしか利用出来ません。

たとえばAmazonで購入したものはKindleのアプリでしか見れません。

医学書の電子版でも同様です。

 

これにはアプリの仕様によってできることが違うという問題があります。

 

Aというアプリでは書き込みが出来ず。Bというアプリでは検索ができないといった具合です。

せっかく複数書籍で横断的な検索可能という機能があっても、複数のアプリにまたがっては出来ないので、すべての書籍を同じ販売元から購入しないと横断的な検索は本領を発揮できないことになります。

現在のところ、すべての電子書籍を網羅した販売元はありませんので、必ず複数のアプリにまたがることにはなると思います。

さらに1つのアプリでしか利用できないというのはアプリの不具合に弱いという問題もあり、国家試験・受験の勉強のような失敗出来ない勉強には使用しにくい面もあります。

 

さらにリーダーアプリが自由に選べるPDFと指定されたアプリでしか読めない電子書籍ではアプリの開発競争の面でもPDFの方が有利になります。

機能・性能だけで勝負しなければならないPDFリーダーアプリに対し、電子書籍アプリは売っている本のバリエーションの方がアプリ開発よりも重要なのです。アプリの開発に関しては後回しになっている可能性があります。

問題2:書き込みができない

現在のところ、Apple pencilを使って満足に書き込みの出来る電子書籍アプリに出会ったことがありません。

もともと電子書籍自体が勉強を想定していない点では仕方ないのかもしれません。

 

勉強においてとても重要な「書き込みが紙に近い感覚でできない」というのは勉強には使いづらい点ですね。

さらに、マーカー機能が備わっていてもバックアップ機能が備わっていないといった未完成な部分も見られます。

PDF化した教科書ではできて電子書籍ではできないことを列挙すると

  • 紙に近い感覚での自由な書き込み
  • 画像の貼り付け
  • マーカーや書き込みのバックアップ
  • すべてまとめて(購入元に関係のない)検索
  • パソコンでの使用
  • 台数制限なしの使用

とくに画像の貼り付けや紙のような書き込みなど、やっとタブレットが紙に追いつき追い越した部分が使えないというのは大きなデメリットだと考えています。

 

筆者の選択は紙の書籍のPDF化(自炊)

このような現状を踏まえて筆者は紙の書籍を自分PDF化するいわゆる自炊という方法で勉強しています。

 

さて、少し話は変わりますが現在、医学生の間でiPadでの勉強が普及してきていると感じています。

 

医師国家試験予備校も半数近い予備校がiPadでの勉強を想定したような形でPDFでテキストを配布しています。

勉強量という面では医学生は受験勉強に近いものがあります。人によっては受験勉強よりも勉強しているかもしれません。

 

このような現状から将来的には受験勉強にもiPadでの勉強は自然と広まっていくのではないかと思います。

電子書籍も勉強に特化して進化すれば勉強に使えるようになるか

医学系の電子書籍では海外のほうがずっと先行していて、海外のサービスでは紙の本を購入するとWeb上やアプリ上で同じ本を読めるというサービスもあります。(Elsevier社のStudent consult)

このサービスの中では電子版では、関連する問題を解くことができたり、追加コンテンツを読みことが出来ます。

いずれ日本も後追い的に同様のことが可能になると思います。

そうなれば、電子書籍だけで勉強出来るようになるでしょうか?

 

筆者はそうは思いません。少なくとも当分の間は。

 

理由は、簡単です。

電子書籍が提供していくれるサービスは従来の勉強スタイルとは異なるものが多く、勉強する側が電子書籍の提供する方法に適応する必要が出てくるからです。

 

紙と同じように扱えないのです。

感覚が違うとどうしてもストレスが生じます。

 

最初からタブレット端末で勉強してきた世代がくるまでは、どうしても紙の感覚を引きずってしまうのではないでしょうか。

電子書籍の限界はいつまでも紙の感覚を追い求めてしまう人間の側にあるようにも感じます。

紙の書籍のPDF化の可能性:紙に近く、紙より便利

紙の書籍をPDF化するという方法では極めて紙に近いことが可能です。

 

電子書籍にはさまざまな制約があることは紹介しました。

一方で、紙の書籍をPDF化する自炊では一度PDFにしてしまえば、あとは制約はありません。

PDFを読むアプリも書き込みも自由です。

 

一番のメリットはこれまで紙で勉強していたのとほとんど同じ感覚で勉強に使うことができることです。

ここに筆者は可能性を感じます。

勉強といえば、

  • 教科書
  • ノート
  • ペン
  • マーカー
  • 付箋

というのを1台でこなせるようになった今、PDF化した教科書とデジタルノートアプリで勉強するというのはみんなの選択肢に入ってほしいところです。

PDF化する上でのハードルを低く:新型スキャナーに大きな期待

PDF化を行う上で一番重要なのはスキャンの工程です。

スキャンの質が読みやすさやOCR(文字認識)の精度にも影響します。

 

さらに、時間がかかるのもスキャンの過程です。

現在、家庭用スキャナーの代表といえば、富士通のScanSnapというモデルです。

 

2018年10月12日には、6年ぶりのフルモデルチェンジの新型が発売されます。

6年前というと、ちょうど冒頭で紹介したKindleの日本発売くらいのときです。

あの頃とは、タブレットもアプリも全く変化しています。

このスキャナーも大きな進化を遂げていると思います。

あわせて読みたい
スキャナー ScanSnap: iX1500 製品トップ : RICOH RICOHのスキャナー 「ScanSnap iX1500」のトップを掲載しています。

 

スキャナーも新しいモデルが出るということで、いままでiPadで勉強ということは考えていなかった方も、迷っていた方も決断してみてはいかがでしょうか?

 

iPadとApple pencilとスキャナーを組み合わせることで

紙と同じ感覚で、紙より便利に効率的に

勉強が出来ることを保証します。

 

効率のよい勉強方法が少しでも多くの人に知ってもらえることを願っています。

 

筆者

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